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  • 🍉医学のはなし #2 ジェンナー 〜ワクチンはどうやって始まった?〜

    2026.09.01

    今では、こどもの予防接種は身近なものになっています。

    でも、昔は「病気になる前に、病気から守る」という考え方は、今ほど当たり前ではありませんでした。

    そのきっかけのひとつとなったのが、イギリスの医師、エドワード・ジェンナーです。

    昔、天然痘という病気がありました

    今ではなくなった病気ですが、天然痘は、とても恐ろしい感染症でした。

    高い熱が出て、全身に発疹が広がり、命を落とす人も少なくありませんでした。

    天然痘から身を守るため、ジェンナーより前から「種痘」という方法も行われていました。

    これは、天然痘にかかった人の発疹にできた「膿」や「かさぶた」などを使って、あえて軽く感染させる方法でした。

    天然痘にかかっても、その後は再びかかりにくくなることが知られていたからです。

    ただし、本当に天然痘に感染させるため、重症化したり、そこから感染が広がったりする危険もありました。

     

    「牛痘にかかった人は、天然痘にならない?」

    18世紀のイギリス。

    ジェンナーは、牛の乳をしぼる女性たちの間で、

    「牛痘にかかった人は、天然痘になりにくい」

    という話があることに注目しました。

    牛痘は、牛などにみられる感染症です。

    ジェンナーは、

    「牛痘にかかることで、天然痘から守られるのでは?」

    と考えました。

     

    1796年、ジェンナーの実験

    1796年5月、ジェンナーは牛痘にかかった女性、サラ・ネルムズの手の病変から採取した材料を、8歳の少年ジェームズ・フィップスに接種しました。

    フィップスは数日間体調を崩しましたが、その後回復しました。

    そして約2か月後。

    ジェンナーはフィップスに天然痘の病変から採った材料を接種しました。

    しかし、フィップスは天然痘を発症しませんでした。

    ジェンナーはその後も研究を続け、牛痘を利用することで天然痘を防げることを示していきました。

     

    ここから「ワクチン」が広がっていった

    ジェンナーの方法は、その後、世界へ広がっていきました。

    「病気になってから治す」だけではなく、

    病気になる前に、病気から守る。

    そんな予防の考え方が、少しずつ広がっていったのです。

    ちなみに、「ワクチン(vaccine)」という言葉は、ラテン語で「牛」を意味する「vacca」に由来します。

     

    そして、天然痘はなくなった

    ジェンナーの時代から約180年。

    世界中で天然痘をなくすための取り組みが続けられました。

    WHOは1980年、天然痘の根絶を宣言しました。

    天然痘は、現在までに人類が根絶した唯一の感染症です。

    ジェンナーの研究から始まったワクチンの歴史は、200年近い時間をかけて、世界から天然痘をなくすところまでつながりました。

     

    ジェンナーが残したもの

    ジェンナーの話から分かるのは、

    病気になってから治すだけが、医学ではない。

    ということ。

    病気になる前に、病気から守る。

    その考え方は、今の予防接種にもつながっています。

    普段何気なく受けている予防接種も、こうした長い歴史の中で生まれてきたものです。

    「病気にならないための医療」

    も、医学の大切な一部なのです🍉

     

    参考文献

    • World Health Organization. History of smallpox vaccination.
    • World Health Organization. A brief history of vaccination.
    • Centers for Disease Control and Prevention. History of Smallpox.
    • World Health Organization. Smallpox.

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